イケナイ先生だけど、なぜか憎めない。その理由は、本音と懸命さ
学校の先生は、性格も行いも人の手本になるべきだ、なんて私たちは思いがちかもしれない。映画『バッド・ティーチャー』は、そんな思いにキツイ一発をビシッとお見舞いしてくれるはずだ。
教師だって人間だから、欠点もあれば、隠したいことがあるにしても、このバッド・ティーチャー、エリザベスにいたっては、隠しようがないほど真っ直ぐに本音で生きて爽やかだ。
なぜ彼女が教師を志したのかは不明。きっと彼女のような教師は、現実には少なくないだろうし、なぜこんなことをしているんだろう? って我に返って疑問に思う瞬間は誰にでもある。
エリザベスの場合は、ふと我に返って、教師なんかしてられない、玉の輿結婚をしなくちゃ、私にはお金が必要だから、と思ったのだろう。そして、彼女の場合は、路線を決めたら、アクセル全開でその方向へまっしぐら。ただし路線は、少しづつズレていく。
玉の輿結婚が目的だったはず。そのうちに豊胸手術をしなくちゃとなり、そのためにはお金が必要だから、お金をとにかく手にいれよう、となる。手段がいつしか目的になっていくところが面白い。
本音と建前はどこにでもあるけれど、この作品は楽しいコメディでしかできない方法で建前と本音の両方にナイフを突きつけていくようだ。果たして本当のところはどこなのかと。
楽しいコメディ作品として上出来。最初キャメロン・ディアスがちょっと老けて見えて、彼女も年なのかなあ、と思ったけれど、ストーリーが進むにつれ、どんどんキュートに魅力的に見えてきた。女優として自分の見せ方は熟知しているはずだから、きっと演技だったんだろうなあ。
(オライカート昌子)
2012年5月19日(土)渋谷HUMAXシネマほか全国ロードショー
バッド・ティーチャー オフィシャル(公式)サイトhttp://badteacher.info/